ぷかぷかさんと出会う前

 

 何とも言えない緊張感。バスや電車内で知的障害者と一緒になると、どことなく車内に漂っていたもの。誰も声には出さない。私自身、心の何処かで身構えてしまっていた。何をされた訳でもないのに。

 

 小学生の頃はバスでよく一緒になっていたが、電車が主な移動手段になって以降、会う頻度もめっきり減った。それ故に、日々の中で障害者について考えることはなかった。あのニュースを目にするまでは。

 

 2016年の夏、相模原で起きた障害者施設殺傷事件。19人の方が亡くなった悲惨な事件。「障害者は不幸を生むことしかできない」という犯人の供述に、驚きと哀しさの気持ちでいっぱいになった。

 

 それは違うと自分の中で言い切るために、障害者の人たちと関わってみたいという気持ちが沸き起こった。そんな時に見つけた、朝日新聞の記事。「障害者はいた方がいい 一緒に生きるパン屋の日常」。

 

 これは行ってみたいと思った。単純にパンが美味しそうだというのもある。家から電車とバスで一時間半の、横浜にあるベーカリー「ぷかぷか」で想像以上の素敵な出会いがあった話はまた次回に。